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東大寺二月堂 修二会 行法

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3月9日修二会  今駒清則


「お水取り」 だったん松明をつくる  撮影:今駒清則

3月9日、食堂の南に大きな花が開きます。籠松明に続いてだったん(達陀)松明を童子が作ります。12日、13日、14日には火天が内陣から礼堂へ燃えている大きな松明を突き出す「だったん」の法要があります。それに使われるもので、この後に大きなケズリカケを沢山挿してさらに花のようになります。できあがると食堂に立て掛けておきます。

「お水取り」 大仏殿裏からの道、結界が渡されています  撮影:今駒清則

 今日は昨日に続く牛玉刷り以外は特別な行事はありません。そこで二月堂付近を見てみましょう。
 二月堂へは幾つかの道がありますが、観光客は大体大仏殿前から登って手向山八幡、三月堂(法華堂)へ出て隣の二月堂へというのが多いようです。もう一つは大仏殿裏の道を真っ直ぐ東に行き、大湯屋、湯屋、参籠宿所、食堂を経て二月堂に上る道です。こちらは地元の方とか、よくご存知の方がお参りされます。
衛星写真地図

 大仏殿裏の道は二月堂が見える辺りで頭上に結界が張り渡されています。気がつかないで通られる方も多いのですが、この先の食堂の前にも、また二月堂のまわりにも修二会の時は結界が回らせてあります。

「お水取り」 塔頭の入口の結界  撮影:今駒清則

 境内の塔頭の門にも輪注連が掛けてあります。

「お水取り」 1254(建長6)年銘の灯籠に掛けられた注連縄  撮影:今駒清則

 三月堂前にある日本最古の灯籠にも無造作に輪注連が掛けてあります。お水取りの井戸がある閼伽井屋も当然結界してあります。別火の時には別火坊にも結界がしてありました。よく見ると境内のあちこちに輪注連や注連縄が掛けたり張り渡してあります。
 注連縄がお寺の中なのに、と思うのは今どきの人です。修二会では神仏習合がそのまま伝えられています。結界は道場と娑婆とを区別するもので聖域を示します。悪霊や穢れを嫌って清浄な世界で修二会を勤めるためのものです。

 2月の別火に入るとすぐにこの注連縄を作ります。
 2月21日には「注連縄まき」と言って二月堂南の飯道神社で堂童子が注連縄を撒いて童子らがそれを受け取ります。受け取れずに地面に落ちた注連縄は「チリ(塵)」といって使いません。興味深い清めの方法です。
 注連縄は練行衆の塔頭や修二会に勤める方々の家に掛けます。また二月堂周辺に注連縄を張り渡して結界します。
 また忌服(ブクと言っています)者は修二会を勤めることができませんし、また結界の中に入ることはできません。二月堂に近づかないのが決まりなのです。私は約20年にわたって修二会を取材させていただきましたが、幸いにも身近にそういったことが無かったので続けられました。


修二会を詳細に記録した今駒清則写真集『南無観』についてはここをご覧下さい。


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