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東大寺二月堂 修二会 行法

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3月2日修二会  今駒清則


「お水取り」 大宿所 (差時の時の堂司と衆之一)  撮影:今駒清則

 3月2日の日中法要まで丁寧に省略無しの次第時で行われます。内陣での法要については後で述べますが、今日は練行衆の参籠宿所を見てみましょう。
 参籠宿所は一般には公開していないのですが、練行衆をお見舞いする際に多少垣間見できます。二月堂の登廊の下で食堂と並んで建っている宿所は修二会の時だけに使用されるもので、近世の改造もありますが鎌倉時代とも室町時代ともいわれている独特の僧坊です。6つの部屋があり、練行衆は和上宿所、大導師宿所、呪師宿所、大宿所に分散して入ります。そして満行までは他の部屋へ出入りすることはできません。童子は2ヶ所の童子部屋に入り練行衆のお世話をします。

 練行衆は写真のように狭い自席だけで全てを行います。手を伸ばせばすべてに届く配置です。就寝の時も自席で布団(写真右端)を被れば休めます。実に合理的にできていますが古くからの僧房の姿が伝えられているのでしょう。環境は違いますがインドや敦煌といった石窟の僧房生活をも彷彿としてきます。

「お水取り」 大宿所 堂司の席  撮影:今駒清則

 宿所には火鉢(炉)がありお茶や暖房に使います。壁には自身の守本尊、中臣祓の幣、観音経と阿弥陀経、黒い襷袈裟、各種の数珠、薬と滓の袋、また役目によって書類などが掛けてあります。
 一番下には紙手
(こうで)が貼られています。紙手とは仙花紙を二つ折りにして紙類などを差し入れて保存するポケットのようなもので、表には著名画家などの絵が描かれている洒落たものです。また松明の根の部分を利用した花生に茶花を活けます。火鉢横の自席には敷布団の上にテシマを敷いて座ります。

 宿所の庭には大きな焚き火が常時焚かれていて、今は水道ですが内陣の油煙で煤けた顔や手などを洗う場も設けています。この庭は童子や仲間がそれぞれの仕事でいつも行き交っており、また朝夕のお見舞いの訪問客やシャバコの待ちあわせの場所にもなっていて賑わう時もあります。(なお、参籠宿所は一般の方の参観はできません)


修二会を詳細に記録した今駒清則写真集『南無観』についてはここをご覧下さい。


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