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東大寺二月堂 修二会 行法

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3月7日修二会  今駒清則


「お水取り」 小観音さまにお供えする生花  撮影:今駒清則

3月7日は湯屋の庭で童子が12日に上げる籠松明を作り仕上げます。明日は食堂周辺で籠松明を作りますので見学には最適です。
 7日は上七日の満行の日で、小観音さまの日ですから練行衆のお勤めが普段と変わります。昔は上七日と下七日で練行衆が入れ替わったので、その名残から行事次第が変化しているものと思われます。

 日中法要の後に「数取懺悔(かずとりさんげ)」を内陣と礼堂で勤めます。「数取懺悔」は5、7、12、14日にしますが、練行衆といえど行中に戒律を破ったり、過ちがあったりするのでそれを懺悔して、上役は一千遍、平衆上位は二千遍、下役は三千遍の礼を行います。
 「イッペン
(一遍)、ニイヘン(ニ遍)・・・ジッペン(十遍)、ニジッペン(二十遍)・・・ヒャッペン(百遍)、ニヒャッペン(ニ百遍)・・・センベン(千遍)」と独特の数え方で激しく礼を繰り返します。あくまでも厳しい戒律を守ることを求められるのです。

 今日はここで下堂して休息します。下堂すると参篭所の和上宿所では小観音さまのお厨子の出御(お出まし)にお供えする花を拵えます。花は梅、椿、水仙の生花で一対を拵えます。また六器という牛蒡を芯にして樒の葉で包んだかわいいものも拵えます。

「お水取り」 奏楽と宵御輿松明のもとでお厨子がお出ましになる  撮影:今駒清則

 休息後、夕刻に再び上堂し日没法要と例時法要を勤めます。その後準備をしてご本尊の後ろにおられた小観音さまのお厨子を礼堂にお出しして安置し、中灯之一が供物や荘厳をします。娑婆古練の見守る中で中灯之一の晴れ舞台です。練行衆は礼堂の小観音さまを礼拝して下堂。古練も続いて礼拝し、お厨子は堂童子と手向山八幡の神官に警固されて後夜法要まで礼堂に安置されます。小観音さまが礼堂におられる時は俗の私どもは礼堂に入ることが叶いません。

 常のように初夜の松明で上堂しますが、礼堂には小観音さまがおられるので礼拝し畏まって内陣に入ります。古練は礼堂で揃って聴聞をします。初夜法要、半夜法要、走りの法要が終わると堂司は外に出て後入衆(ごにゅうしゅう、下七日に籠る練行衆)を出迎えます。ただ現在では上下通して籠りますので形式だけになっています。

 その後、暁御輿松明を点して小観音さまのお厨子を内陣の外回りの外陣へお運びし、北側で止まって大導師がお迎えの祈願をします。そしてさらに進んで南側から内陣にお入れして須弥壇の正面、大観音さまの前に安置します。その後、後夜、晨朝と法要を勤めて下堂します。

 難波津に漂着した小観音さまを二月堂にお迎えした様をドラマチックに再現した法会で、下七日はお迎えした小観音さまを本尊とし、後入衆が参籠するかたちを伝えています。暗やみの深夜、松明のあかりのもとで丁重に、粛々と進められる後入(ごにゅう)はまるで昔の絵巻のようです。この出御の時は正面の局から、後入の時は正面以外のいずれの局からでも拝見できます。

 なおこの小観音さまに関する興味深い論文が「南都佛教・第52號・二月堂特集」(東大寺・南都佛教研究會発行)に、川村知行「東大寺二月堂小観音の儀礼と図像」、佐藤道子「小観音のまつり」として収録されています。


修二会を詳細に記録した今駒清則写真集『南無観』についてはここをご覧下さい。


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