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東大寺二月堂 修二会 行法

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3月1日修二会  今駒清則


「お水取り」 和上の自誓受戒  撮影:今駒清則

 3月1日からはいよいよ本行です。まず深夜に食堂で和上(わじょう)から戒を授かります。和上は授戒松明のもとで自身の戒を受ける作法をし、その後練行衆一同に戒を授けます。一本の松明の明かりが和上を照らし、その背後の練行衆がほのかなシルエットになっている暗やみの中で、これから始まる法会の戒律を厳格に守る誓いをたてます。

 厳粛な授戒が終わると二月堂に上堂し、堂童子が神聖な火(一徳火)を切り出して内陣の常燈(じょうとう)の明かりにします。

 いよいよ内陣で法要が始まります。開白(かいはく)と言い最初は「日中(にっちゅう)」の法要で、平衆の頭である衆之一(しゅのいち)が次第時(しだいじ)で勤めます。行中で最も厳粛で丁重な作法で行い、この次第時は明日の「日中」まで続きますので、修二会の声明をしっかり聴くには最も良い時です。

「お水取り」 開白の日の内陣  撮影:今駒清則

 一旦下堂して宿所で休息、朝はシャバコから開白祝いのご挨拶を受け、昼の12時に正食を食堂でとります。長い祈りの後に独特な作法で食事をして再び休息します。普段ですとすぐに上堂して「日中」を勤めるのですが今日は開白ですから変則的な勤めになります。

 再び上堂して「日没(にちもつ)」の法要を勤めます。内陣の須弥壇はまだ荘厳をしていない(写真参照)ので少々寂しいのですが、この後の二月堂周辺を鎮守する三つの神社に開白の報告と守護を祈願して巡る「惣神所」を終えると、別火で準備した椿、南天、壇供などを須弥壇に飾り付けます。

「お水取り」 初夜の入堂  撮影:今駒清則

 しばらく下堂休息の後、午後7時に大鐘が「初夜(しょや)」を搗くと練行衆は松明の明かりに導かれて登廊の石段を上ります。
 四職の上堂松明は四職が二月堂の北出仕口から入堂されるとすぐに消されていたのですが、近年はどうしたことなのか西面
(正面)の回廊(舞台)へ平衆の松明と同様に廻って角々で廻して火の粉を降らすようになりました。
 続いて平衆の上堂松明が次々と上っていきます。処世界は先から二月堂に居残っていますから処世界の松明だけは上りません。
 この上堂松明が世に有名な「二月堂のお松明」で、1日から14日までの修二会の間は毎日上ることになります。特に12日は特別に大きな「籠松明
(かごたいまつ)」が上り、また14日には上堂松明が連続して上り、舞台上に揃って一斉に火の粉を振りまく「尻つけ松明」がありますが、平日も上堂松明は上りますので参拝、見学には混雑が少なく好適です。

 入堂した練行衆は礼堂で作法の後、内陣に入り、「初夜」「半夜(はんや)」「後夜(ごや)」「晨朝(じんじょう)」と「六時の行法」を勤めて深夜に下堂、休息します。

 開白の日は行事が多く、また修二会の法要も複雑ですから本行では主な事だけを走って紹介しています。これから徐々に基本的な部分だけでも紹介して参りますが、今回だけでは足らないかと思いますので今後も補完し掲載したいと考えています。


修二会を詳細に記録した今駒清則写真集『南無観』についてはここをご覧下さい。


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